品質管理はどの業界でも重要な役割を果たしますが、実は守るべきルールや基準は業界によって異なります。
本記事では、共通で関わる国際規格や国内基準を押さえたうえで、医薬品・食品・化学・自動車・電機業界などの主要業界ごとに必須の法規制やガイドラインをわかりやすくまとめました。
新人研修や異業種への転職準備にも役立ちますので、ぜひブックマークしてお使いください。
✅ 品質管理に共通する基本規格・ルール
まずは、業界を問わず共通して関わる国際・国内のルールを押さえておきましょう。
◾ ISO 9001（品質マネジメントシステム）
品質管理の国際基準。製品やサービスの品質を安定的に提供するための仕組みが定められています。
- PDCAサイクルの運用
- 継続的改善（カイゼン）
- 顧客満足の向上
◾ ISO 14001（環境マネジメントシステム）
製品の品質と直接関係しないように見えますが、環境負荷低減の面から多くの化学・製造業で導入されています。
◾ JIS（日本産業規格）
ISOをベースに、日本国内向けに翻訳・整備された規格です。
- JIS Q 9001：ISO 9001の日本語版
- JIS Z 8401：品質管理用語
- JIS Q 1000〜：業界ごとの詳細規格
製造工程の管理、検査方法、報告書の書き方などにもJISが影響します。
🏥 医薬品業界で守るべき法規と基準
◾ 薬機法（旧薬事法）
医薬品、医療機器、化粧品などの品質・有効性・安全性を規制。GMPや表示義務などもこの法律に基づいています。
◾ GMP省令（Good Manufacturing Practice）
「適正製造規範」とも呼ばれ、医薬品の製造・品質管理における手順を厳格に規定しています。
- 逸脱報告
- 変更管理
- 文書管理・バリデーション
◾ 外原規（医薬部外品原料規格）
化粧品や医薬部外品に用いる原料の基準を示した規格集。業界では「外原規に適合しているか」が重要です。
◾ 日本薬局方（JP）
医薬品の品質・純度・試験法などが規定された国家規格。医療用・一般用問わず広く参照されます。
🍙 食品業界で守るべき法規と基準
◾ 食品衛生法
食中毒防止や成分表示の義務づけなど、安全な食品を提供するための基本法です。
◾ HACCP（ハサップ）
食品の危害要因を予測・分析し、重要管理点（CCP）でリスクを防止する衛生管理手法。2021年以降、原則義務化されています。
◾ JAS法（日本農林規格）
有機・特別栽培農産物などの規格を定めた法律。適正な表示と流通の基準を担います。
◾ PL法（製造物責任法）
消費者保護の観点から、不良品による事故が起きた場合の責任を明確化した法律です。
🧪 化学・素材業界で守るべき法規と基準
◾ 化管法（PRTR法）
有害物質の排出・移動量の把握と公表を義務づける法律。化学工場や研究所では必須知識です。
◾ GHSとSDSの整備
化学物質の危険性を世界共通でラベル表示し、**SDS（安全データシート）**を交付することが求められます。
◾ 消防法・毒物劇物取締法
保管数量や保管方法、許可制などが細かく決まっています。
◾ REACH・RoHS（海外対応）
EU向け輸出では、これらの化学物質規制に準拠する必要があります。
🚗 自動車業界で守るべき法規と基準
◾ IATF 16949
ISO 9001をベースにした、自動車業界専用の品質マネジメント規格。大手メーカーのサプライヤー認定には必須です。
◾ PPAP（生産部品承認プロセス）
部品が設計通りに量産可能かを文書で証明する手法。
◾ FMEA・MSA
工程リスク分析や測定システム分析などの品質技術が重視されます。
📱 電機・精密機器業界で守るべき法規と基準
◾ ISO 9001（再掲）
顧客満足・品質記録・内部監査などが重要視されます。
◾ 製品安全法・電気用品安全法（PSE）
家電・電機製品に関わる企業は、製品が法律で定める安全基準を満たしている必要があります。
◾ 工程能力指数（Cpk）・QC手法
製品のばらつきや工程の安定性を数値化して評価するのが一般的です。
🔚 まとめ
品質管理の仕事では、「何を守るべきか」が業界によって大きく異なります。
本記事の内容をおさえておくことで、ミスを防ぐだけでなく、信頼される品質管理担当者への第一歩を踏み出せます。転職を考えている方、新しい業界で品質管理をする方や新卒で品質管理業務に就く方はぜひ参考にしてみてください。
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