品質管理の現場では、「原因不明の不良」がもっとも頭を悩ませる問題です。検査では異常が出るのに、製造では再現しない。なぜか特定のロットだけ異常が出る――こんなとき、闇雲に調査を始めても泥沼にハマるだけ。
そこで鍵となるのが「変化点の特定」です。
これはプロの品質管理者がまず最初に行う基本であり、もっとも効率的なトラブル原因の探し方です。
本記事では、現場で実際に使われている「変化点の見つけ方」と、原因が特定できないときの打開策まで紹介します。
変化点とは何か?品質管理の基本の「キ」
変化点とは、不具合が発生する前後で変わったことです。
品質は基本的に「一定条件で一定の結果」が出るはずなので、変化=原因の候補になります。
変化点を洗い出すことで、調査の的が絞れます。たとえば、以下のような変化が原因になることがあります:
分類 | よくある変化点の例 |
---|---|
人(Man) | 担当者が変わった、新人が入った、作業手順が独自化されていた |
設備(Machine) | メンテ後だった、部品交換した、温度センサーの位置がズレていた |
材料(Material) | 原材料のロット変更、副資材が別メーカー製になった |
方法(Method) | 検査基準が変わった、工程が簡略化された |
環境(Environment) | 気温や湿度の影響、作業場の照明・騒音など |
なぜ「いつからおかしいか」を聞き出すべきか
「いつから異常が出ていたか」は、変化点を探す出発点です。
もし、5月のある日を境にNG品が急増したなら、その直前の変更を探すのが最も効率的なアプローチです。
現場に聞くときの例:
- 「このロットを流した日、普段と違うことなかった?」
- 「いつもと違う人・機械・材料を使ったことない?」
- 「午前と午後で様子が違うこと、なかった?」
こうした質問で、「そういえばあのとき…」という気づきが出ることも多いです。
トラブル原因を見抜くための7つの現場テクニック
現場でよく使われる「変化点探索」や「なぜなぜ分析」だけでは解決できないときもあります。そんなときに有効な“実践的な調査のコツ”を紹介します。
① まず「再現性」が取れるかを確認する
調査の第一歩は再現性の確認です。
同じ材料、条件、装置で同じ不良が再現するかを見なければ、根本原因にはたどり着けません。逆に言えば、再現性があるなら再現条件を掘り下げれば原因に近づけます。
✅ 補足:検査側のバラツキ・判定ミスの可能性も忘れずに
② 設備や測定系を疑う視点も持つ
品質異常があった場合、「測定機器」や「設備側の異常」も候補になります。
例えば、「実は温度センサーがズレていた」「ノギスのゼロ点が狂っていた」などは現場で多い話です。
工程の測定データではOKでも、最終検査ではNGのようなときは、測定側の誤差・異常を疑うのがポイントです。
③「時系列」で追いかける
どのタイミングから不良が発生しているか、時系列でデータを並べてみることで、傾向が見えてくることがあります。
- どのロットから変化したのか
- どの工程の前後で不良が出始めたか
- 時間帯で傾向はあるか
Excelや帳票の履歴を追うだけで、意外な“変化点”が見つかることもあります。
④ 変化点を洗い出すときは「チェックリスト形式」で
現場で変化点を聞き出すとき、「何か変わったことありますか?」という聞き方では答えが出ません。
以下のようなチェックリスト形式で聞くと、ヒントが出てきやすいです:
- 作業者はいつもと同じ?
- 使用した材料やロット番号は?
- 使った型・設備・機械は?
- 清掃やメンテナンスの実施履歴は?
⑤ 「聞き方」を工夫して現場から情報を引き出す
作業者に話を聞くときは、責める口調はNGです。
「何か間違えましたか?」と聞くと防衛反応が出ます。代わりにこう聞きましょう:
- 「この製品をやった日、いつもと違うことってありました?」
- 「やりづらかった点とかありませんでしたか?」
- 「違和感あった部分とか覚えてます?」
現場の記憶に頼る部分は多いので、信頼関係+聞き方の工夫がカギです。
⑥ 仮説を立てたら自分で検証する
「もしかしてこれが原因かも」と思ったら、できる限り自分で検証するのが近道です。
机上の空論より、現場での検証・再現実験が何よりも説得力があります。
✅ 現場が忙しくて再現できないときは、シンプルなテスト条件を自作して提案してみるのも有効
⑦ 「記録と記憶のズレ」に注意
作業日報・製造記録と、作業者の記憶はズレていることもあります。
「記録上は変わっていない」けど、実際はこっそりやり方を変えていたというパターンもあるので、現場での“実態”を確認することが重要です。
それでも原因が分からないときはどうする?
どんなに調べても、完全には原因が分からないケースもあります。
そういった場合に求められるのは「それでもやれることをやったという説明力」です。
- 「こういう調査を行ったが、原因の特定には至らなかった」
- 「再発の可能性を下げるため、〇〇を監視強化する」
- 「〇〇の異常が一時的に重なった可能性がある」
曖昧でも、ロジックと再発防止策をセットで提示することが大切です。
まとめ:変化点を押さえ、仮説を立てて再現せよ
品質トラブルの原因究明に魔法の解決策はありません。しかし、「変化点を押さえる」「再現性を確認する」「自分の足で検証する」――この3つをやり切ることで、かなりの確率で原因に近づけます。
品質管理は推理力と実行力の積み重ね。
「なぜ?」を諦めずに掘り下げることで、現場からの信頼も高まり、再発防止にもつながります。
💡20代でキャリアに悩んでいる方へ
「正社員経験がない」「短期離職してしまった」「就職活動に自信がない」――そんな不安を抱えていませんか?
**UZUZ(ウズウズ)**は、20代の第二新卒・既卒の方に特化した転職エージェントです。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの状況や希望に合わせて、丁寧にサポートしてくれます。
サービスはすべて無料です。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

最適な転職エージェントを紹介してほしい方はこっち↓

コメント